
M Shirota
2009年2月3日
911テロ事件
911テロ事件
2001年9月11日全世界を震撼させる事件がニューヨークで起こりました。アメリカ同時多発テロです。3,000人以上が犠牲になり、日本人の犠牲者も24人に上りました。NYで暮らす私どもにとってこの日は忘れなれない日であり忘れてはならない日です。皆さんはその時どこにおられ何をされていましたか?日本でも大きく報道されたと思います。何処にいらしたにしても皆さんそれぞれ“その時”がまるでドラマのように鮮明に記憶に残っているのではないでしょうか。
でもあれから8年の歳月が経とうとしています。毎年“その日”になるとNYのあちこちでいろいろなイベントが行われています。当初は厳粛に犠牲になられた方々の死を悼み冥福を祈る気持ちで始められたものであるはずですが、年々それが形骸化されてしまう傾向も見受けられます。
ご遺族の一人が作曲された“千の風”
御遺族の一人に当時富士銀行に勤められていたご子息を9.11で失くされた住山一貞さんという方がおられます。 もともと、音楽に造詣の深い方ですが、息子さんを失くされてからはご自分の“想い”を作曲に托されるようになりました。やはり9.11でお子さんを失くされたアメリカ人の作った詩にメロディを付けたり合唱曲を作曲したりされています。そのうちの一曲が「千の風になって(A Thousand Wind)」です。Native American(作者不詳)の詩に新井満氏が作曲した「千の風になって」は日本ではあまりにも有名ですが、2002年9月11日の一周年追悼式の際、犠牲者(WTCのレストランのシェフでした)のお嬢さん(Brittany Clarkさん、当時11歳)がこの詩を朗読し人々の心を打ちました。彼女はこの時、原詩を少し変えて朗読しています。即ち “Do not cry before my graveyard”の部分を “I am with you still”と読み替えたのです。大半の犠牲者の遺体が発見されていない状況で “Graveyard” という言葉はあまりに重く受け入れがたいものだったのでしょう。Brittanyさんは I am with you still. . . .と読んだ時「父親の声を聞く様だった」と話しています。
住山さんはこのBrittanyさんが朗読した詩に共鳴され(住山さんのご子息の遺体も発見されていません)この詩に曲を付けられました。新井満氏作曲の朗々と歌われる「千の風」と違って、住山さんの「千の風」は8分の6拍子の軽快に流れるリズムにのって悲しみをさらりと歌い上げた名曲です。私はこの曲の持つ“祈り”“希望”そして“力強さ”に感動しました。合唱を愛する仲間たちと住山御夫妻の前で歌ってあげたいと思いました。そして犠牲者を心から悼み、ご遺族の悲しみに心を致す、小さくてもいい、立派でなくてもいい、しかし心に残るメモリアルコンサートを開催することを企画させていただきました。
第一回 メモリアル 風の環コンサート
この呼びかけにNYで活躍するたくさんの音楽家の方々に賛同していただきました。なんと15人ものプロのアーティストが会場であるダウンタウンの小学校に駆けつけてくれたのです。勿論皆さんボランティアです。ソプラノソロ、バリトンソロ、ピアノ、バイオリン、ジャズ、沖縄三線、ゴスペル、等々、実に多彩な顔ぶれでバラエティーに富んだ楽しいコンサートになりました。勿論、住山さん作曲の「千の風」もご本人の前で男声合唱で披露することが出来ました。
[第二回コンサートへのお誘い]
私たちはこのコンサートを一回で終わらせるのではなく今後も続けていきたいと考えています。継続していくことに大きな意義があると考えているからです。そしてNYだけでなく世界中の音楽を愛するたくさんの仲間に集まってほしいと考えています。プロ、アマを問いません。ご出演に興味のある方はご一報ください。お一人(一グループ)10分程度での演奏時間ということ以外に特に制約はございません( ただし、時間の関係で全員の方々に御主演いただけない場合もありますので予めご了承ください)。また、実際にステージに上る演奏家だけでなく、会場に足を運んでいただける方もお誘いしています。去年はたくさんの方に集まっていただきました。今年はもっと大勢の方に聴きに来て頂いて、9.11の“その日”にここNYでご遺族の皆様と共に素晴らしい音楽に浸っていただきたいと思います。
平成21年2月3日
9.11メモリアル 風の環コンサート
音楽監督
白田 正樹
